子どもの貧困・大人の未婚
- 婚活先生
- 2017年12月2日
- 読了時間: 7分

沖縄県の貧困や、子どもの貧困については、随分ピックアップされるようになって、
新聞紙面でもよく見かけるようになったような気がします。
少しずつではありますが、
「生涯未婚率」という言葉や、
沖縄県が生涯未婚率が高いという言葉が認知され始めているような気はしますが、
なかなか定期的に大きく取り上げられることはまだまだ少ないように思います。
子どもの貧困は、
たまたま生まれ育った環境によって、起こることなので、理不尽さを感じるのでしょうか。
無料塾や子ども食堂など、徐々に取り組みが行われているものもあるように思います。
それに比べると、
沖縄県が主導になって、
「おきなわ出会い応援シンポジウム」が行われてはいるものの、
まだまだ「生涯未婚率が高いこと」を知っている人は数少ないように感じます。
子どもの貧困については、選択の余地がないということで、
支援が早急に必要というイメージがあるのもよく分かります。
生まれた環境によるという点で、理不尽さを感じることがあるのかもしれません。
対して、
大人の未婚は、
「もう大人なんだから、自分のことは自分でしないと…」
という声が聞こえてきそうな気がしなくはありません。
また、結婚して子どもが生まれても、
低所得世帯であれば、
子どもの貧困を生み出す結果にもなってしまいます。
そういう意味でも、
まずは、今いる貧困世帯、そして、その子どもたちを救うこともとても重要なことだと思います。
しかし、それは、社会的な都合であって、
困っている、支援が必要という観点では、
大人の未婚も同時並行して取り組まなければいけない課題だと思っています。
25歳までの未婚率の話をすれば、
沖縄県は全国でもっとも低い未婚率を示します。
25歳までに結婚する人が全国的に多いということです。
「沖縄では若くして結婚する人が多い」というイメージがあるかもしれませんが、
他都道府県と実はそれほど差はありません。
沖縄の結婚事情について、
みなさんがご存知のイメージとして、
「離婚率が高い」というのもあるかもしれません。
これも全国でもっとも高いので、
確かに、離婚をする人は他都道府県と比べて多いと言えます。
しかしながら、よく知られていないのは、
沖縄の婚姻率です。
沖縄の婚姻率は、東京に次ぐ、全国で2番目の高さであり、
実は、独身自体は少ない県なのです。
未婚率が高いのに、婚姻率も高いのはなぜか。
それは、離婚しても再婚する人が多いのだろうと推測できます。
なぜなら、離婚して初婚の人と結婚すれば、
自ずと未婚率も下がるところ、
全国的に下がらないということは、
再婚者同士の再婚が多いだろうと考えるのが適切だからです。
実は、沖縄は家族の数自体は多いものの、
結婚経験のない人の結婚がなかなか前進しない特性を持っています。
もちろん、同性愛者の結婚が認められていないことで結婚できないことや、
そもそも、結婚する意思のない人もいるので、
生涯未婚率は男性で26%、女性で16%の中には、
結婚が認められないケースと、結婚しない非婚主義の人も含まれるという点では、
必ずしも生涯未婚率の増加が悪いということではないように思います。
1965年の全国の生涯未婚率の結果は、
男性で1.5 %、女性で2.5 %でした。
この時期は、ほぼすべての人が結婚する時代という意味で、
「皆婚時代」と呼ばれています。
直近2015年の全国の調査結果で言えば、
男性は22.4 %、女性が14.6 %となっています。
この50年ほどで、
生涯未婚者は、
男性でおよそ21 %増加し、
女性はおよそ12 %増加したことになります。
この50年の間で、
男性では、5人に1人が結婚しなくなり、
女性でも、10人に1人が結婚しなくなりました。
50年前は、
男女ともに結婚経験のない人が100人のうちで、2人程度だったものがです。
急激な変化が起こり始めたのいつ頃のことでしょうか。
男性では1990年以降、じょせいでは2005年以降に、
急激に生涯未婚率が上昇し始めました。
バブル崩壊が1994年ですから、
男性では働けば働くほど年収が増える時期、
女性では男女共同参画社会と銘打って、本格的に動き始めたのが1999年のことですから、
僕個人の考えからすれば、
仕事の時間が男女ともにネックになっているように感じます。
もちろん、しっかり仕事をしながら、結婚していく人もいるわけですから、
男女ともに仕事に対する優先順位が上がったからといって、
結婚できなくなるわけではないと思っています。
1994年のバブル崩壊や、2008年のリーマン・ショックで訪れた、
就職氷河期の時期があり、
生きていくためにはお金が必要で、
そのために仕事が必要であり、
また、「不景気」と誰もが叫んでいたい時代に、
就活は活発化していきます。
「婚活」の提唱者である、山田昌弘先生、白河桃子先生もまた、
未婚化の傾向は就活が活発化した時期と同時期との見解に至っています。
就活が活発化とともに、
受験戦争が活発化していました。
そして、低下価格がもてはやされる時代がやってきて、
昨今では「ブラック企業」という言葉も生まれています。
受験で疲れ、就活で疲れ、
一生懸命就活して掴んだ仕事を簡単に放棄する若者が増えたといわれる反面で、
放棄できずに自殺や過労死してくる若者も発生し、
仕事に疲れはじめてきたように思うのです。
その結果、恋愛離れと呼ばれるような、
「恋愛は面倒なもの」というイメージも徐々に広まっていったのではないでしょうか。
一時期は「二世帯住宅」などが取り上げられるなど、
結婚だけではなく、義理の両親との暮らしを考えたり、
子育てだけではなく、一人っ子も増え、
義理の両親の介護のことなどを考えれば、
結婚に対するイメージが重くなるのも仕方がないのかもしれません。
子育てに関しても、
イクメンや家事メンという言葉が世には出たものの、
実際の時間としてはほぼ変わっていないという調査結果もあります。
女性にとって、結婚はリスクが高いものになっているようにも思います。
とはいえ、
出産のリスクが高くなると言われる35歳前後から婚活をはじめる女性は少なくはありません。
出産のリスクを考えなかった時には意識しなかった結婚が、
子どもを産めなくなるかもしれないという時期に入って、
結婚を意識していなかった人が結婚を考えはじめ婚活をはじめるのは少なくはない動機です。
婚活において、「若さ」は武器となります。
男女ともに年収も気にはするものの、自分と同年代か若い人を条件にする人は少なくはありません。
しかし、男女ともに、自分より若い人を条件にすれば、ミスマッチングしか起こり得ないのです。
「若さ」は条件としてのメリットだけではありません。
「時間がある」という意味で、婚活において大きなメリットなのです。
「若さ」とは何かと言うと、
他者と比べれば、やはり年齢となりますが、
自分自身と比べれば、過去には戻れませんし、
刻一刻と時間が過ぎ去るとともに年を重ねていくわけですから、
今現在が「一番若い」のです。
つまり、自分自身の話をすれば、
「若さ」とは「現在」のことです。
婚活をはじめる年齢も高齢化する傾向があります。
老後を1人ではなく、パートナーと暮らしたいと、
婚活をはじめる人も徐々に増えつつあります。
いつだって結婚はできるので、いつだって婚活ははじめられるのです。
しかしながら、生涯未婚率や婚姻率から考えれば、
年齢が上がるごとに、選べる相手は減っていくということでもあります。
選べる相手が減るということは、条件を絞らなければなかなか結婚は難しいということを意味します。
沖縄の現状として、
結婚したいの結婚できない。
仕事が優先になって出会いがない。
そういう人たちが多いように思います。
また、年収や容姿などに劣等感を持ち、
「自分は結婚していい身分ではない。」
と思っている人もいるのではないでしょうか。
特に、子どもの貧困を考えると、
子どもが欲しいと考えていても、
夫婦の世帯年収を考えると、
子どもを不幸にしてしまうだろうと足踏みする人もいるかもしれません。
子どもの貧困も取り組むべき社会課題です。
しかし、これからの沖縄は少子化が急速に加速すると言われています。
子どもの貧困がなくなることが重要であり、
子どもがいなくなってしまうことはまた別の課題ではないでしょうか。
沖縄県における、
【子どもの貧困】と同様に、
【大人の未婚】もまじめに考えたいものです。
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