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『Rock'n Roll葬』


樹木希林さんが2018年9月15日に亡くなられて、

夫の内田裕也さんも2019年3月17日に後を追うように亡くなられました。

そして、2019年4月3日に内田裕也さんお別れ会である『Rock'n Roll葬』が催されました。

そこで、2人の実子である内田也哉子さんの謝辞に、

特殊ではあるけれど、愛を感じる結婚観が垣間見えたように思うのです。

不倫を繰り返す内田裕也さんを受け止める樹木希林さんの姿は、

一般的な感覚で言えば、おかしいと言ってもおかしくないものでしょう。

内田也哉子さんもそこを踏まえつつ、

母親である樹木希林さんが自由意志の結果にそれを選び、

父親である内田裕也さんがひとりの女性にとらわれず心身共に自由な独立を選んだことを、

真実だったと言っています。

特殊な結婚生活も、

お互いの自由意志の上では不思議なバランスで成り立つのかもしれません。

幸せとはやはりつかみどころがないようです。

そんなことを考えながら、

それをずっと身近で目撃してきたのは、

お二人の娘さんの内田也哉子さんだったのではないでしょうか。

こんな夫婦の元に生まれてきたことを不幸だと考える人もいるでしょう。

ただ、不幸かどうかを判断できるのは当の本人だけです。

内田也哉子さんは自分の気持ちを、

「2人を取り巻く周囲に、これまで多大な迷惑をかけたことを謝罪しつつ、

 いまさらですが、このある種のカオスを私は受け入れることにしました。

 まるで蜃気楼のように、でも確かに存在した2人。

 私という2人の証がここに立ち、また2人の遺伝子は次の時代へと流転していく…。

 この自然の摂理に包まれたカオスも、なかなか面白いものです!」

という言葉にしています。

結婚の形はどうであれ、

親が子どもに遺すものが何なのか、

子どもを産み育てることに意味のようなものがあるように思うのです。

もちろん、望んでも子どもを授かれないカップルもいます。

単純に同性愛のカップルだけではなく、

不妊症に悩むカップルもいるでしょう。

同性愛の場合、自由意志でお互いの遺伝子を遺すことは、今の所できません。

不妊症に悩むカップルも体質の話になってしまいます。

選択肢がない中で、自由意志として子どもを授からないという判断も1つです。

山口智子さんが子どもを授からない意思を表明された時に話題になりましたが、

同性愛カップルや不妊症に悩むカップルが欲しているものを、

可能性があるかもしれないのに得ないことにわがままだという人もいるかもしれませんが、

これもまた、山口智子さんと唐沢寿明さん夫婦で導き出した答えなのです。

それを非難できる人はいないはずなのです。

結婚しないという自由意志を選択するのもよし、

結婚するという自由意志を選択し、

子どもを授かるかどうかの自由意志を選択するのもまた自由なのです。

しかしながら、

僕は内田也哉子さんの話を通して感じたことは、

内田也哉子さんという生き証人がいなければ、

内田裕也・樹木希林夫婦の愛情を証明する人はいなかっただろうということです。

子どもは夫婦の生き証人なのだと強く実感させられたように思いました。

もちろん、子どもは親の生き証人になるために生まれるわけではありませんが、

子どもを授かることの意味を考えた時に、

このお別れ会である『Rock'n Roll葬』に内田也哉子さんは必要不可欠だったように思います。

告別式に自分のことを語ってくれる人がいるということは幸せなことのように思いました。


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